業績の良い企業を選ぼう
そもそも配当金はどこから出てるのでしょう?社長のポケットマネーではありません。配当金の原資は基本「資本剰余金」です。なので企業の「当期利益」や過去の利益である「利益剰余金」を原資として株主に支払われます。
当たり前ですが、会社の利益が無いと配当金が支払われないのです。実際、赤字で配当がゼロ(無配)の企業も結構あります。でも一概に配当ゼロが悪いとは限りません。グロース企業の中には、利益を事業を拡大するための投資(設備投資や広告宣伝費)に使う場合があります。この場合は配当ゼロでも将来の利益のための投資に使ってるのでOKです。株主から集めたお金を有効に企業が使えてるかの指標として「ROE」がありますが話すと長くなるので別の機会にしましょう。
まとめると、高配当株投資においては、配当を維持するだけの利益が必要ということです。当たり前の話ですが、無い袖は振れない訳です。
業績に関しても、できるだけ大幅な黒字が理想です。利益が大きいと「増配」の可能性が高まります。増配するかしないかは株主還元の方針もあるので難しいところですが、増配→配当利回りアップ→株価も上昇するという流れになる可能性が高いので株主にとってはプラスです。増配しそうな企業を探せるかも高配当株投資の醍醐味であると思います。
財務基盤がしっかりした企業を選ぼう
「財務基盤がしっかりしている」とは、上記の業績が安定しているとも被るのですが、企業が安定して収益が上げられているかということです。短期間で収益を上げれてもそれが継続しないと安定した配当は出せません。1年間は増配でも2年目以降は減配する可能性があります。企業が将来的に収益を上げていけるかに注目しましょう。
別の視点として、収益が上がっていても、借金が多いとか、設備にやたらお金がかかって利益を食いつぶしたりする場合もあるので注意しましょう。また円高、円安に関しても企業の業績に関わる場合がありますので、この企業は円高(円安)になれば業績が上がるのか下がるのかも意識しましょう。
家庭に例えると、お父さんが高収入でも、借金やローンが多いと家計が苦しくて、子供にお小遣いをあげることができませんよね。
配当性向に注目しよう
配当性向とは、当期純利益に占める年間の配当金の割合を示す指標のことで配当性向が高いほど株主に利益を還元する姿勢があると言えます。
配当性向の計算式は「1株あたりの配当金額÷1株あたりの利益×100」となります。
では、配当性向が高い会社を選べば良いじゃん!と言う意見が出てくると思いますが、配当性向が高すぎる会社は逆に危険です。
タコ足配当と言って、企業が原資となる十分な利益がないにもかかわらず、配当を無理に出してるということです。その裏には、資産を売却していたり、設備投資を抑えたりして株主還元をしている場合があります。簡単に言うと見栄を張っている訳です。そういう企業に飛びついてしまうと、減配→株価下落という痛いコンボを食らってしまうので注意です。極端に高い配当性向は、高配当によって企業を魅力的に見せ、投資家に買ってもらう戦略でもあります。その裏で大株主は売り抜けていたらどうでしょうか・・・笑うに笑えません・・・
逆に、配当性向が低い企業は、配当への余力がある企業なので、そのことも頭に入れておきましょう。もしかしたら増配の可能性がある企業を見つけるヒントになるかもしれません。
その配当、記念配当や特別配当を含んでる?
これは落とし穴的なところなんですが、配当が高くても記念配当や特別配当を含んでる場合は注意が必要です。記念配当は「企業の創立〇〇周年なので20円増配」というものです。
例えば株価が1000円で配当金が1株30円の場合、配当利回りは3%ですが、ここに記念配当20円がプラスされれば1株50円の配当金になった場合、配当利回りは5%にもなります。皆さんはもうお分かりですね、記念配当は、その年だけなので、次の年には業績が上がらない限りは30円に戻ります。なので記念配当の企業を購入する時は注意してください。
特別配当は、企業の利益が大幅に増加した場合に、株主に還元されるもので、サラリーマンにとっての特別ボーナスに近いものでしょうか。これは株主にとっては好ましいものですが、この利益の大幅な増加の要因に注目してください。企業が保有している土地を売ったとか有価証券(株などの取引き)で利益を得たみたいなものは継続性はありません。事業として大幅な利益が出た場合は、利益は一過性のものか、継続できそうなものかしっかり詳細を見ることをおすすめします。継続して大幅な利益アップができそうならその株は手放してはいけません、やがて配当金以上に投資家に利益を生み出してくれる可能性は高いのですから。
企業側に株主還元する気があるか
もしかしたらこれが一番大事かもしれません。業績とか財務とかいろいろ書きましたが、いくら利益があっても、剰余金があっても、株主に配当金で還元する気が無ければ話になりません。なので、経営者が株主の方向を向いている企業を選ぶべきです。
それってどうやって見つけるんだよ!という方もいると思いますが、企業が公開しているIRに注目してください。ほとんどの企業は株主還元のスタンスが記載されていると思います。配当金や自社株買いがどうとかというところです。逆にそこが全然記載されていない企業は株主還元には積極的で無いかもしれません。
最近では、三菱商事のように中期経営戦略で「持続的な利益成長に応じて増配を行う累進配当」をすると掲げる企業も出てきました。
しっかり株主還元政策を公表する企業は、それだけ株主還元を意識している企業ということが言えますし、還元する自信もあると考えることができます。